11/29<判例>土地崩壊の危機と所有権に基づく妨害排除請求

場所:法学部3番教室

議題:大審院昭和12年11月19日第五民事部判決「土地崩壊の危機と所有権に基づく妨害排除請求」について

参照:民法判例百選T−46(P,102)

内容:大審院昭和12年11月19日第五民事部判決は妥当か

判決(略):妨害排除請求容認

論点1:XはYに対して訴えられるのか

論点2:Yは除去・防止義務を負うのか

論点3:負うとしたら、Yは防止施設を負担しなければならないのか

 

今回は所有権をテーマとした議題を扱った。

今回も、原告、被告、裁判官に分かれて行った。

 

 まず、論点1に関してであるが、「XはYではなく、水田にし、それをYに売ったAを訴えるべきではないか」という主張が被告側からなされた。 

 これに対して、原告側は、民法199条<占有保全の訴え>を適用して、現時点で水田を所有しているのはYであり、Xに水田へと移行したAを探し当てさせるのは困難なことであり、取引を円満に行えなくなってしまうと主張した。

 この論点に関して、裁判官は、原告の言い分を聞き、Yを訴えの対象とするのは正しいとした。

 

 続いて、論点2に関してであるが、「Yが水田を現時点で所有しているからといって、Aが水田に移行したのであってYには故意・過失がないのではないか」と被告側から主張された。

 これに対して、原告側は「Yに故意・過失があるか否かに関わらず、現に水田を所有しているのはYであるから、現時点での除去・防止を行うのはYである」と主張された。

 この論点に関して、裁判官は、「取引の安全を図るためにも、Yには除去・防止する義務がある」とした。

 

 最後に論点3に関してであるが、「Yに除去・防止義務があるからといって、費用まで負担する義務はないし、それは公序良俗に反することである。それに費用は防止・除去義務をYに負わせたAに負担させるべきだ」と被告側から主張された。

 これに対して原告側は、「除去・防止の義務を負うということは、すなわち、費用まで負担するということも含むことであり、しかも費用が軽微であるから、公序良俗に反するとはいえない」と主張された。

 この論点に関して、裁判官は、被告の主張を認め、「Yは除去・防止義務を負うが、その費用まで負担する義務はなく、その費用は義務を負わせたAが負担するのが妥当である」とした。

 個人的な意見としては、確かに、この事件ではYを被告としているが、本来は責任のあるAを訴える対象とすべきでなかっただろうか。大審院の判決ではYに費用の負担まで命じているが、本来、Yに有責性はない。それなのに、Yに有責性を認めてしまった大審院判決には疑問が感じられる。

 

Publish at :2006/12/03(日) 22:57

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